日本の美しいものづくりの旅【香川漆器】

日々の暮らしに和の粋を添える
繊細華麗な技法と艶やかな光沢

 「japan」とも呼ばれる日本の伝統工芸“漆器”。国内にある23の産地のひとつが香川漆器です。江戸時代後期、古来の技法の研究を重ね、この地独自の新しい技法を生み出したことから始まりました。代表的な5つの技法(ページ下部参照)に加え、讃岐彫りや独楽塗(こまぬり)など技法の多彩さ、家具から器、小物まで種類の豊富さは随一。芸術性の高さにおいても、日本有数の人間国宝を輩出していることから歴然としています。幾層にも塗り重ねられた色漆や、繊細に描かれた優美な彫り模様など、香川漆器の気品に満ちた風格の中には、多様性のある自由なおおらかさが息づいています。

香川漆器の起源

 漆器は、中国から朝鮮を経て仏教と共に伝えられ、沈金(ちんきん)や蒔絵(まきえ)など日本独特の技法が誕生しました。江戸時代、高松藩主・松平家の工芸保護育成の奨励と支援により、香川の伝統産業として発展。江戸後期に日本の美術工芸文化は爛熟期を迎えます。そんなとき登場したのが、高松生まれの玉楮象谷(たまかじ ぞうこく)(1807〜1869年)です。
象谷は京都で蒔絵などの漆芸を学び、大陸伝来の蒟醤(きんま)や存清(ぞんせい)などの漆器技法を研究し、独自の技法を創案。やがて香川漆器の礎を築き上げました。
 昭和30~40年代には、国産漆の座卓の約7割は香川産といわれるほどで、5つの技法が国の伝統的工芸品に指定。現在、41業者が香川県漆器工業協同組合に所属し、後継者養成施設の香川県漆芸研究所もあります。伝統の技を磨きながら、柔軟な感性や斬新なアイデアを織り込む若手漆芸家の活躍も楽しみです。

香川漆器5つの技法

 昭和51年、香川漆器は蒟醤・存清・彫漆・後藤塗・象谷塗の5つの技法が四国で初めて「国の伝統的工芸品」の指定を受けました。技法によって漆塗の工程は異なりますが、「下地」「中塗・上塗」「加飾・仕上げ」の三段階に大別されます。塗っては乾かし、研ぎ…と根気と忍耐を要する作業を繰り返し、それぞれ特色のある香川漆器ができあがります。

今の生活に生かす

 ひと昔前の日本家屋には、漆塗の座卓がありました。香川漆器は、座卓を中心に畳文化を彩ってきましたが、今ではフローリングにもフィットするモダンな飾り棚やチェストなど、家具のラインアップも充実。修理・再生が可能で、一生ものとして大切に使えるのが魅力です。また、お椀やフリーカップ、スプーンなどのテーブルウェアであれば、より手軽に普段使いできます。陶器やガラスと比べて割れにくく、熱を伝えにくいので熱い汁物を入れて手にしても大丈夫。使い込むうちに、まろやかな艶としっとりとした手触り感が出てきます。

〈取材協力〉
香川県漆器工業協同組合
株式会社 川口屋漆器店
株式会社 森繁

 

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