日本の美しいものづくりの旅【奈良筆】

日本の筆づくり発祥の地で息づく筆匠(ひっしょう)の技

 筆のはじまりは2300年前、秦の時代の中国がルーツと伝えられています。奈良は日本の筆づくりの発祥の地とされ、「あかしや」は江戸時代中期に初代当主が筆問屋として看板をあげました。以来、奈良筆の歴史に培われた伝統文化を守り続けています。現在、奈良筆の匠の技を継承する伝統工芸士=筆匠は8人。そのうちの一人がこの道40年の松谷文夫さんです。千差万別の獣毛の毛質を見極めて巧妙に組み合わせ、一本一本手づくりで。書風・書法に合わせた大小、長短、柔剛さまざまな奈良筆を生み出しています。

奈良筆の起源

 筆が中国から日本に伝来したのは6世紀頃。飛鳥・奈良時代には、木簡などに使用していた筆、写経などに使用していた天平筆が飛鳥地方でつくられていたようです。9世紀、遣唐使に随行した空海(弘法大師)が最新の毛筆製法を修めて帰国し、大和今井(現・橿原市)の坂名井清川(さかないのきよかわ)という筆匠に技法を伝授。嵯峨天皇に献上した筆が奈良筆のはじまりといわれています。南都七大寺とともに栄えた奈良筆は、その匠の技と心が受け継がれ、磨かれてきました。

奈良筆の製造工程

求められる筆によって千差万別、100工程ほどもあるといわれ、ほぼ全工程で根元が逆になった逆毛を抜く作業がある。独りの職人によって全工程が行われる。

「書」を和モダンなインテリアに

 小学生の頃に取り組んだ書き初め、墨汁や硯、下敷きが入った道具セットなど、習字にまつわる思い出がよみがえる人も多いのでは。 そんな習字(書写)が、小学1年生から学習科目※になりました。お子さんのおおらかな書や趣味の書道教室で書いたお気に入りの作品を、フレームに入れたり軸装して飾ると和モダンなインテリアに。家族で墨アートやアート書道などの展覧会に足を運ぶのも、目の保養になるうえ、筆を自由に運ばせてみようと思うきっかけになりそうです。 
※3年生から毛筆を使い始める。

今の生活に生かす

 筆で書く機会が少なくなったとはいえ、使いやすく可愛い文具には心惹かれます。奈良筆と同じ製筆技術を施した穂先をもち、書家や専門家からも評価が高い書き味の筆ペンは初心者にもおすすめ。また、茜、若草、藤、銀鼠など日本の伝統色を揃えた水彩毛筆は、絵手紙や俳画、大人のぬり絵などで、簡単に濃淡が表現できる逸品です。現代の暮らしに合った筆記具のほか、筆づくりのノウハウを生かした化粧筆でも、質の高さや使い心地が実感できます。

 

〈取材協力〉 株式会社あかしや
奈良県奈良市南新町78-1

 

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