大震災、そのとき…
管理組合はどう動いたか。

みんなが、ごく自然に、手を差しのべ助け合った。

予測不能の事態に遭遇したとき、私たち一人ひとりが管理組合の一員としてどう行動すればよいのでしょうか。3月11日の東日本大震災で液状化により被災したものの、みんなで心をひとつにして乗り切ったエルシティ新浦安の事例をご紹介しましょう。

余震がおさまるとすぐに行動開始

 3月11日当日、強い揺れ(本震)の後、居住者200人ほどが管理棟であるエルセンター前に集まりました。平日午後のため、その中で組合役員は年配の方がほとんど。大きな余震がおさまると、まず全約1200戸に対してドアに貼るマグネット式「安否確認シート」で避難済みか否かを確認。仮設トイレ23基を組み立て各番館前に設置、さらに仮設トイレを利用しづらい7階以上住戸には備蓄していた携帯トイレを配布しました。断水による水の確保は、偶然出ていた一部の散水栓と長谷工コミュニティが翌日緊急配備した、非常用飲料水生成システム「WELL-UP」、隣接する浦安ブライトンホテル(長谷工グループ企業)の井戸水などで対応。

 今回エルシティ新浦安がこれほど迅速に対応できたのは、日頃から地震災害に備えていればこそ。「関東地方は近い将来、高い確率で地震が来ると言われていました。そのため、防犯防災委員会が危機感を感じ、数年前から災害に向けた活動を活発化させ、阪神大震災を教訓に、地震時に真っ先に必要な水とトイレの確保を検討、また、組合内での危機管理時の組織を構築し、具体的なシミュレーションを行う直前に今回の震災が発生しました。」とフロント担当の久保田支配人。仮設トイレと携帯トイレは昨年9月に自治会の古紙回収の積み立て資金で購入、さらに自治体の交付金を活用して携帯トイレを毎年追加備蓄。水については隣接する浦安ブライトンホテルにある井戸水を緊急時に提供してもらうよう約束していました。またオリジナルの「安否確認シート」は今年1月に全戸に配布しておいたもの。地震を想定した具体的な備えが見事に生かされました。

「水が出ないなら、火は使わない」を徹底

 災害時に求められる正確な情報伝達。こちらではエルセンター(管理室)からダイレクトにつながる各住戸のインターホンと屋上のスピーカーを活用、必要な情報をリアルタイムで提供しました。また、付近一帯が断水し、井戸水などを分け合っている状況下では、火災が起きても消火に使う水がない。だから『水道が完全復旧するまではガスを含め一切の火を使わないように』ということも決めました。「近隣で断水時に火災がなかったのは結果論でしかありません。たとえ1%でもリスクがあるなら火は使わない。それを徹底しました」と赤塚理事長。

ボランティア募集の呼びかけに約200人が集合

 震災直後から理事会・自治会役員が中心となり動いてきた対策本部も、2日目に30人では手いっぱいになりボランティアを募集することに。インターホンでの呼びかけに、予想を上回る希望者が続々と200名近く集まり、7つのチームを編成。なかでも医療チームは病気やケアに専門知識をもつ16人が参加、医療相談などを中心に頼もしい存在でした。(※医療行為は行っていません。)

 高齢者や子供たちの心のケアも忘れません。高齢の方には和室に集まってもらい茶話会を開催、子供たちには本の読み聞かせを実施。大人がリーダーですが、このとき大活躍したのはボランティアとして集まった中学生の女の子たち。より小さな子供たちをかいがいしく世話する姿が周囲を明るくしました。この中学生たちは茶話会でも、ひとりでは足元が不安なお年寄りを迎えに行き、集会室まで案内する役を引き受けました。

心までぽかぽか 譲り合いのお風呂

 高齢者に代わり食料品などを購入する買い出しチーム、通院時などに車を出す車チームなどに加え、活躍したのがお風呂チームです。震災5日目には通水したものの、7棟のうち2棟ではお風呂が使えなかったため、お風呂を使える10数軒で自宅のお風呂を開放。100人以上の人が利用しました。この試みは「あたたかいお風呂が何よりうれしい」「見ず知らずなのにお風呂を使わせてくれるなんて」と感激の声しきりで、お礼として渡されたお金は、義援金として寄付されました。

 非常事態のなかで世代を超え、心の垣根を超え、あたたかく協力し助け合う姿があちこちで見受けられました。こうしたボランティアのすばやい反応には土台があると赤塚理事長は言います。「ここ一年、緊急時の連絡網づくりに着手していました。そのプロセスの中で災害時の行動や対応について、関心や意識が高められたと思います。」まさに備えあれば憂いなし、その言葉どおり、毎日の積み重ねがイザというときの行動や気持ちのゆとりにつながりました。

管理組合として備えたいこと

今回の事例を教訓に、防災対策における日頃の備えをいま一度考えてみましょう。

管理組合として備蓄するもの

◎仮設トイレ及び携帯トイレ
携帯トイレに加え、組立式仮設トイレの両方を備蓄しておくことでより多くの需要に対応できます。

◎水
井戸水などの確保やWELL-UP装置の用意をはじめ、近隣と災害時における水の確保について検討しましょう。

◎自家発電機
1台の発電量は1時間程度のため、大型マンションの場合は数台用意しておくことが必要です。またいざという時使えないことのないようメンテナンスにも気を配りましょう。

マンションコミュニティとして備えるもの

◎緊急連絡網の整備
全戸を網羅する緊急連絡網を整備することで、災害時、身体の不自由な方や高齢の方がどこにいて、どう対応すべきかなどを近隣住戸の方たちに周知しておくことができます。

◎イベント開催で交流を深める
夏祭りやもちつき大会など管理組合や自治会主催のイベントの開催により、居住者同士または近隣住民同士が顔見知りとなり交流することで、イザというときの助け合いや連帯感につながります。

※備品導入などについては、各組合様の状況によりご検討いただくことをお薦めします。

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