人・マンション・暮らしを考える
近未来マンションの展望 ─長谷工総合研究所レポート─

お住まいの方の数だけ価値観がある
一人ひとりにとっての「次代のマンションの在り方」を探ります

環境・エネルギー問題を視野に先端の市場動向を解析。

 マンション供給数、管理戸数ともに多くの実績と経験をもつ長谷工グループ。そのなかにあってつねに最新の市場動向を調査し、時代を読み、先端のニーズに対応する調査・研究を行う、シンクタンクの役割を担うのが長谷工総合研究所です。現在4名の主任研究員が、テーマごとに市場分析や調査・研究を行う一方、市場データ、分析レポートを情報誌「CRI」に掲載し、広く業界のビジネス情報として発信しています。たとえば、2009年6月号の巻頭特集は「環境問題と住宅」と題したエンドユーザーへのアンケート調査結果のレポート。環境問題への関心は高齢者と若年層がともに高く両極化の傾向にあり、若年層の場合、教育のなかで環境問題に触れる機会が多いことが意識を自然に高める傾向につながっていると推測されます。また男性より女性の方が日頃の具体的な行動に対する関心が高いことや、環境に配慮した住宅の購入意欲が高まりつつあるなど興味深い内容が盛り込まれています。環境問題は、いまや地球規模で取り組むべき緊急の課題であり、こうした時事性も考慮した上で当研究所がテーマとしているのは、(1)マンションの市場動向の調査分析、(2)高齢化社会に対応する住宅モデル、(3)住宅ストックの問題と活用、(4)環境(エネルギー)問題の大きく4つ。(1)は業界として当然のことながら、(2)の高齢化と(3)のストックマンションの問題についても(4)の環境問題との関連性のなかで差し迫った課題として取り組んでいます。
 私たちは5年後ではなく、30年後を見据えて研究をしていく必要があると考えています。今の首都圏では2020年までは世帯数が増えますが、その後は減少、高齢化社会の到来も必至です。マンションもファミリー層だけでなく、シニアを対象としたマーケットを視野に入れる必要があります。30年前、住まいに対する考え方はアパートに始まり、賃貸マンション、分譲マンションと進み、最終的に戸建て住宅へ、が一般的でした。今は戸建てからさらに都心の分譲マンションやシニア分譲マンションへと次の選択肢の幅が広がっています。まさに多様化がひとつのキーワードです。また今後は地球温暖化防止に向けたCO2の削減や限りある資源の有効活用や再資源化といったエコロジカルな発想を抜きにして住宅問題を語ることはできません。環境に配慮しながら、いかに多様性のある住まい方のメニューを充実させ、ご提案していくことができるのか。多角的な視点から研究を進め広く情報発信して皆さまのお役に立っていきたいと思っています。

代表取締役社長 相川 博

「自立」をテーマにメニューを充実。
高齢化への取組み

 超高齢社会の到来を想定し、長谷工グループは20年前から高齢者向け住宅に取り組んできました。高齢者向け住宅とは一般の住宅とも公的福祉施設とも異なり、高齢者が単身でも安心・安全に住めるよう食事、介護、健康管理など様々な生活支援サービスを付加したものです。この分野で17年にわたり研究を続けている主任研究員の吉村さんは「高齢者がそれぞれのライフスタイルや価値観に沿って、現在の生活の延長線上でできるかぎり自立して暮らせることが重要です。一般の分譲マンションの場合でも最近はバリアフリー化やユニバーサルデザインの採用などハード面はかなり進化していますが、高齢期を迎えた場合、それ以上に重要なのはソフト面、日常生活をサポートするサービスです。たとえばお元気な高齢者でもお一人暮らしの場合は電球交換ができないといったことなども起こり得るわけで、こうしたニーズにどう対応するのか、きめ細かで多様なサービスの提供が求められます。そのためには管理会社の果たす役割はもちろん、管理組合が一体となり、生活をスタートした時点で長い将来を見据えて、いざというときに助け合える良好なコミュニティを意識してつくりあげていくことが大切だと思います」。
 さらに「若いうちから、高齢期を迎えたとき誰とどこで住むのかを考えておくと同時に、日頃から地域の中で良好なネットワークを構築し、地域とつながりを持ちながら生活していくということにも目を向けてほしいと思います」。

柔軟な発想で維持・管理を行う。
ストックマンション

 一方、現在545万戸あるといわれるストックマンション。わずか約40年というマンション供給の歴史のなかで、その維持、管理、活用に関して今後問題が表面化してくると思われています。研究所所長の山本さんは「ストックマンションの究極の問題は、古くなり住みにくくなったマンションをどうすればいいかという点です。これまでは建物自体の劣化に加え、質や面積も劣るので建て替えばかり考えがちでした。しかし、これから高齢期を迎える80年代以降の建物は、ハード面ではまだ充分に使える場合が多くなります。どう手を加えどう使うかという維持と管理の方法が問われるのです。重要なことは、自分が住むことだけ考えて「建て替えるしかない」と思い込まないこと。建物をあと何年は使うという了解があれば、誰がどう住むかを考えればいい。売却・賃貸という選択肢もあります。人が流動すれば、若い世代の入居がコミュニティの活性化をもたらしたりもします。住む人が高齢化してきたなら、バリアフリー化などで住みやすくできる。賃貸化が進んで管理に支障があるなら、規約などしくみの方を変えてもいい。前はこうだったでは硬直化します。今後もマンション資産を維持し快適な住まいであり続けるためには、建物をどう使い、運営をどうするか、既成概念を超え柔軟に考えていくことが重要です」。
 今後は100年、200年の耐用年数をもつマンションも増加します。山本さんは「既存マンションも含めた長寿命化への努力は、建て替えたら生ずるCO2や産業廃棄物を出さない環境配慮の行動です。しかしその寿命も適正な維持管理と使われ方があってこそ。マンションならではの管理運営がますます重要になるということです」。

→長谷工総合研究所ホームページへ

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